疑似恋愛、疑似家族

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 こうしてネットの中に書き物をしながら、デジタルの世界にはいたって疎い方なのですが、いま、ネット上のゲームで、疑似恋愛を楽しむ人たちがずいぶん増えているようです。ときに、現実の世界では、既婚者でありながら、ネットの世界でも、別の配偶者を得て、疑似夫婦を楽しむ人も少なくないと聞いて、古い私などは、頭が混乱してしまう(笑)。

楽しいのかな、それ、と思うのだけど、きっとそれなりに楽しいのでしょうね。
ただし、その楽しい、には、楽(らく)という側面が濃いのだろうと思う。
恋をするにも、自分に都合のよい人(?)だけを求めていればいいのだし、都合のよい時間に遊んでいればよい。物品を求められることもなければ、都合の悪い話などは聞かなくてよい。互いをいい気分にさせてくれる言葉だけが飛び交っているという感じでしょうか。楽しいはずだし、そしてやっぱり、らく。

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 「楽」をこうして求める背景には、「苦」ばかりを求める現実社会というものがあるのかもしれませんし、「楽」ばかりして育ってきたから、いまさら「苦」には立ち向かえないということもあるのかもしれない。どちらにしても、傍目には、何かしらの虚しさを感じてしまう事象かなと思わずにはいられません。

おそらくは、人間が生来にもっている“人”を愛したいという欲求を、小さく完結させた姿がそこにはあるのでしょう。歓びも、苦しみも、小さく薄い。苦しみを経ない分、幸福の感覚もまた薄いだろうなと思います。と、いいつつ、いちばん恐れるのは、そのような感覚が、いつのまにか、心の常態になってしまわないかということで、それがみんな、親の目などは当然、ときに配偶者の目にも届かない、対PC、対スマホという閉鎖空間で営まれていることに、大げさにいえば、空恐ろしいものを感じています。

2013年9月 7日 11:26 長井 春美

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